同じことを伝えているのに、あの先生と自分とでは、相手の受け止め方や結果が変わってしまう…
こんな経験をあなたも実際に経験してきたと思います。
例えば、子どもに
「静かにしましょう」
と伝えてもなかなか思うように静かにならず、困った経験は誰しもがあるはずです。
でも、
「集中して早く終わることができると、あとは自由に時間が使えるよ?」
と伝えると、子どもたちが静かにする確率・速さはグッと上がります。同じ「静かにしてほしい」という内容なのに、子どもたちの反応が大きく異なる…
ここでは、そんな【伝え方】についてお話ししていきます。
伝え方上手になって、子どもや保護者、同僚とのコミュニケーションを今まで以上に円滑で楽しいものにしていきましょう。
Contents
なぜ「伝え方」を学ぶのか
そもそも、
なぜ【伝え方】を学ばなければならないのでしょうか。
なぜ【伝え方】を学んだほうがいいのでしょうか。
先述の通り、伝え方1つで印象や結果は大きく異なります。伝え方を工夫することで、印象や結果は変わる。つまり、言い換えれば
印象や結果はある程度操作することができる
ということです。
やはり、印象はいい方がいいですし、思い通りに仕事やコミュニケーションが進む方がいいでしょう。だとするならば、ちょっとした工夫を学ばない理由はありません。
だって、「ちょっとしたこと」だから。
何も難しい理論ではなく、本当にちょっとしたことなんです。でも、そのちょっとしたことでも結果は雲泥の差で、とても大きな効果を発揮してくれます。
伝え方を工夫すれば、
- 仕事がスムーズに進む
- 子どもへのメッセージも受け止められやすくなる
- 保護者とのやりとりもとても円滑で気持ちの良いものになる
などなど、大きなプラスなことばかり。
考えるべきは3つのステップだけ。
簡単な3つのステップを活用して、コミュニケーションを今までよりさらに素敵なものにしてみてください。
伝えるための3つのステップ
伝えるためのテクニック(工夫)は何も難しいことではありません。
大きな流れとしては、次の3つのステップだけです。
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
- 思ったことをそのままストレートに言わない(伝えない)
- 一呼吸おいて、相手の頭の中を想像する
- 相手のニーズに合わせて伝える
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
というこの3つのステップだけ。
これをしっかりと頭に入れてコミュニケーションをとることで、今までとは全く違った結果になってきます。
1. 思ったことをそのままストレートに言わない
そのままですが、思ったことはそのままストレートに言わないようにしてみてください。
例えば、
(同僚を想定)
「この仕事をしてほしい」
(子どもを想定)
「掃除をちゃんとやってほしい」
と思っても
「この仕事をお願いします」
「掃除をちゃんとやってね」
とそのままストレートに伝えないということです。
自分の求めることや、頭に浮かんだことをそのまま口にしてきたのが今までならば、それを変えることがスタートです。ストレートに自分の想いを伝えることで、うまくいくことももちろんあります。ただ、反対にうまくいかないこともあります。
考えたうえで、ストレートに伝えることが一番「イエス」をもらえると判断した時はいいんです。でも、もしそうでないのであれば…何でもかんでもそのままストレートに伝えるのは、もったいないです。「イエス」をもらえる可能性が50%なら、その可能性を少しでもあげる方がいいですよね。
今までの伝え方を変えて「イエス」を引き出すためには、今までの方法をやめることです。まずは、頭で思ったことをそのまま口にするのはやめることから始めましょう。
2. 一呼吸おいて、相手の頭の中を想像する
グッと、頭で思ったことを口にするのを我慢できたら、
- これから伝える内容に相手はどう考えるか
- ふだん相手は何を考えているか
相手の頭の中を想像します。
たとえば、「この仕事をしてほしい」と、あなたが思ったとします。仮にその思ったことを伝えた場合に、相手がどう思うかを想像します。このまま「イエス」となりそうなら、そのまま思った通り話してしまえばいいです。
ですが…
一方で「ノー」とか嫌な顔をされそうだったら、そのまま口に出したら、予想通りの展開が待っているでしょう。普通に予想通り断られたり…または嫌なイメージを与えてしまうかもしれない。
では、どうすればいいか。
ここからが具体的なテクニックになりますが、まずは、いったんあなたが思っているお願いから気持ちを離して、相手のことを想像します。
- 何が好きか
- 何が嫌いか
- どんな趣味か
- どんな性格か…
あなたが現状でわかりうる基本的な情報を思い出します。ほんの少し相手のことを考えてみる時間をとってください。
例えば
<相手が好きなもの>
- 特別扱いが好き
- 認められたい
- 褒められたい
- 簡単な作業が好き
<相手が嫌いなもの>
- 面倒なことが嫌い
- 宿題が多いのがイヤ
- 時間がかかることがイヤ
- 早く帰りたいから残業(または居残り)はイヤ
などだとします。こういったことを、相手を想いながら考えてみる(思い出してみる)ということです。
3. 相手のニーズに合わせて伝える
「相手の頭の中を想像する」というところで、好き嫌いなどをイメージできたら、その相手の頭の中をもとにしてコトバをつくっていきます。
つまり
伝えたい内容に、
相手の好きなものや
嫌いなものを盛り込んだ
メッセージを考えてみる
ということです。
例えば、先述の例であれば好きなことや嫌いなことに合わせて
(特別扱いされたい同僚なら…)
「○○さんにしかできないんです。
この仕事お願いできますか。」
(居残りが嫌いな子なら…)
「掃除が不十分だったら、
残ってやってもらわないといけないから頑張ろうね。」
という表現にしたりすると、気持ちよくイエスをもらえたり、掃除を頑張ってくれる可能性はグンとあがります。
「○○さんにしかできないんです〜」
は、相手の承認欲求を満たし、特別扱いをした言い回しでお願いをしています。
誰しも承認欲求がありますが、相手が特にその欲求が強い傾向であれば「○○さんだから」という表現を付け加えることで気分よく引き受けてくれる可能性は高まります。
「掃除が不十分だったら〜」
は、嫌なことを回避させた言い回しです。相手(この場合子どもを想定)が“早く帰りたいし残るのは嫌だ”という気持ちを逆手にとって、残るのは嫌だから今一生懸命やった方がお得だと受け取れるように伝えています。
このように、ちょっとした工夫で相手の受け取り方は変わり、相手からYesを引き出す確率がグッと上がったり、受け取る印象が変わったりします。
これが、相手のメリット・デメリットと一致するお願いを作る3つのステップです。
最初は丁寧にテンプレート通りに。
この3ステップは、「どんなお願い」にも万能です。
ステップに従ってコトバを創ることができれば、心地よく依頼を引き受けてくれる可能性がアップしたり受け取る印象がずんぶんと変わります。
- 同僚に仕事をお願いする時
- 子どもに何か手伝いを依頼する時
- 子どもに何か指導する時
- 保護者とコミュニケーションをとる時
あらゆる場面で活用ができます。
初めは特にこの3つのステップを、一つずつ意識してみてください。何度も何度もやっていくうちに慣れて、自然とできるようになります。そして、このテクニックの効果を高めるためにも、ふだんの子どもの様子をしっかりと観察しておきましょう。
この子は、
- 何が好きなのか
- 何が嫌いなのか
- どんなことが得意で、何が苦手なのか
- 友達との関わりは?
- 家での様子は?
こういったことをわかっておくと、接し方やお願いする時のヒントになります。
テクニックと合わせて、ぜひ意識してみてください。